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金谷裕子 × 稲葉まりinterview

2009/01/10


アナログな素材、技法を駆使してカラフルでドリーミー。どこかサイケな作品を生み出す金谷裕子。2008年、映像作家100人にも選出され、デザイン、 VJ、アニメーション制作、Web絵本の発表など、ポップでカラフルな独自の世界観を保ちながらも多様なフィールドで活躍を見せる稲葉まり。昨年の出会いからすぐに意気投合した二人は、共同制作した映像が昨年のBECKの日本ツアーの際使用され、今年に入ってからも、メジャーアーティスト、Rie fuのPVを共同で制作するなど、注目度は高まる一方です。今回はそんな二人の新鋭アーティストに創作活動の原点から、再演の決まった注目の舞台公演「星の行方 昼公演 夜公演 」、都市型野外イベントSense of Wonderでの展示に至るまで、様々な角度から、お話をうかがいました。



SDLX: 金谷裕子さんはパターン(模様)をイメージさせるようなカラフルで幻想的な世界が持ち味で、稲葉まりさんもカラフルでかわいらしくて、でもどっかトゲのある世界観の作品、映像を手がけてますよね? 二人の創作の原点について教えてもらえますか?



金谷: う〜ん。。なんだろう? でも、ちっちゃい子って絵を描くの好きでしょ? (私も) その延長で今まで来た感じ。でも別に神童みたいに描きまくって来たわけでは無く(笑)、ごく普通に(絵を)描いてきたよ。



SDLX: 大学ではどんなことしてたんですか? 美術大学出身ですか?



金谷:うん、美大出身。絵を描いたり、私、写真学科出身だから、写真とったりとか、で、ちょうどその頃にマック(PCによる創作)やりだして、そこでマック覚えたりだとか。



SDLX: 大学の頃にマックに代表されるようなパソコンで創作をするような風潮が美術界に出始めたんですか?
金谷: 美術界がどうなのかはわからないけど、高校生の頃には身近に無くて触れる機会なかったけど、大学に行ったらあって、で、デザインの授業でパソコンを使ったのもあって。それを使って遊んだりとか。



SDLX: へぇ〜。でも結果的に今、金谷さんの作品のスタイルって全然パソコンで作りましたって感じじゃないですよね? どの辺りから今の作風に至ったんですか?



金谷: たしかに、ごく最近はそうだけど、デジタルコラージュとかも元々すごい好きで。アナログとデジタル同時進行でやってきたのよ。だから、コレ(アナログ)になったというよりは、(元々アナログな表現を)ずっとやってるって感じ。



SDLX: 今もパソコンは使うんですか?



金谷: Photoshopは使うかな? う〜んでも、やっぱり、今は重点的には、機械は使わないかも?映像とかで、ちょっと使うくらい。



SDLX: なんか金谷さんの作風見てると、エネルギーがすごいじゃないですか?密度もやたらと高いし。だから、変な偏見なんですが、すごいアナログな人かと思ってました。



金谷: 普通ですよ(笑)



SDLX: でも、今の金谷さんの作風って用いている素材なんかもアナログですよね? アナログで創作をすることの良さってどこにあります?



金谷: 基本は一緒のような気がするけど、触感があることかな?



SDLX: 微妙なニュアンスが出せるって事ですか? でも、微妙なニュアンスなら、機械でもだせますよね?



金谷: 出せなくは無いけど、どっちかっていうと、これはどっちが良いとか悪いってことではなく、作っていく過程で、キーボードを常に触っているって事とは違う触感が、糊を使ったりとか、絵の具を使ったりするとあるよね。
稲葉: 工作みたいな感じだね。
金谷: そうそう。バーチャルな感じじゃなく、ここにものがあるって存在感が(アナログな手法には)あるかな? 物を置いていたらどかさなくちゃいけないし。



SDLX: そっちの方がのめり込みやすいですか?



金谷: いや、のめりこんでいる時は(アナログでも、デジタルでも)どっちものめりこんでいるんだけど、今はより、アナログな手法の方が、実感が沸きやすいからそっちに比重をおいてやってる。より作品と通じ合う気がする。あんまり上手くいえないけど。。でも実際は今こっちの方がやってて楽しいからやってるって程度のことだとおもうよ。



関口和之featuring竹中直人・分山貴美子
「カーマは気まぐれ〜幸せの黄色いリボン(口笛とウクレレ2より)」
ディレクション: 稲葉まり



SDLX: (稲葉)まりさんはどんな風に創作をはじめたのですか?



稲葉: 私も小さい頃から描くのとか、作るのが、楽しいな〜と思い始め、でも別にそれも神童だったとかって、ことでは無く、、



一同: (笑)



金谷: 神童だったって事にしようよ!(笑
稲葉: ペンを握って生まれてきたとか!(笑)



SDLX: まりさんもプロフィールにも明記されてます(金谷さんと同じ美大ではないですが、)多摩美術大学卒ですよね? 高校時代になんで、美大に進もうと思ったんですか?



稲葉:私の場合は、なんか自分が楽しいと思える道に進みたくて。たとえば、学生の頃はテストがあったら勉強するでしょ?頑張って勉強して80点取ったとするでしょ?でも、勉強しなくなったら30点しか取れなくてって、そういう事をずっと続けるのって、どうなんだろう?って高校生の時に進路を決める時、ふと思って。そういう自分が(勉強することを)やめたら、他の人にパッと切り替わっちゃう事をするのは嫌だなと思って。



金谷: 替えの効かないまりちゃんがやる意味のあることをやりたいって事だね。



稲葉: そうかもしれない。でも、今考えると、美術系に行くことだけが面白いことではなかったかな?とも思うけど、その時はそう思って。この道に進みましたね。



SDLX: アート業界には美大卒の人が多いですよね?これはかなり個人的な見解かもしれないのですが、そう感じてしまうんですよね。アーティストにとって美術大学ってやっぱり大きいものですか?



稲葉: でも、美大にいってない人で素晴らしい人も沢山いるじゃないですか? 宮崎駿さんとか栗津潔さん、横尾忠則さんとか。友人や教授からの刺激は今も含めてとても実りがありますが、実は美大自体にはそんなにそこで得ることが予想外に素晴らしかったとかって事はあまりなかったですね。美大自体にそんなに力は無いのでは?とも思います。私は学生の頃はのんびりしてました。



SDLX: まりさんは生意気で4年間、アシスタントとして勤務していますよね。では、学校というよりむしろ生意気に入ってからの方が勉強になった?



稲葉: そうそう!生意気っていうのは自分にとって大きかったと思います。今の活動のルーツじゃないんですが、私、子供の頃、最初は普通の幼稚園に通ってたんですが、途中からモンテッソーリの幼稚園に通って。ドイツのシュタイナー学校みたいなもので。モンテッソーリはイタリアなんだけど。そこはホント、小さい子供の個性を育てましょうみたいな場所で。(この説明自体がモンテッソーリを) すごく要約しちゃってるかもしれないけど。そこではお仕事って名目で、ゴマを炒ったり、裁縫をしたりするんです。最近、友人のママさんと話していたら、それは普通の幼稚園じゃやらないみたいで。自分ではその当時、普通だと思ってたんだけど、なんかそういうのが、(自分の創作活動への影響が)おっきかったのかな?って。で、思ったのが、生意気に入ったのが、人生で2度目のモンテッソーリだったのかな? って(笑)
一同:(笑)



稲葉: 生意気でも、確かに働いてはいたんだけど、もっと学んだことがいっぱいあって!なんかこれをしなさい!ってやらされるっていうよりは、こういうのやりたいと思うんだけど、まりちゃんどうやりますか?みたいな形で、たとえば昆野君がいたら、昆野君なりにやってください!みたいな、なんか人の良いところを面白がって、引き出してくれる感じで、なんか生意気で働いたのって、モンテッソーリ第2弾だったな〜って最近になって、ふと思いました。



SDLX: 幼稚園の頃と見事につながりましたね〜



稲葉: 生意気がなんか変わっていた(独特だった)ていうか。。(笑)



SDLX: 絶対変わってるとは思いますけどね!(笑) 勿論良い意味ですが!なんか具体的なエピソードとかありますか?



稲葉: デイビットさんがニュージーランド人でマイケルさんがイギリス人なので、日本国外で、ある程度人間形成をしてきているから、日本の中で当たり前!みたいなことが当たり前じゃないって事が前提にあるって事が大きかった気がします。型破りというか、たとえば私が生意気に入りたての頃に、3Dグラフィックスでデザインした牛を展開図を作って、実際にダンボールとかで作ってみたり。高さ2mくらいあって。
金谷: リアルポリゴンだね!
稲葉: こんな事するんだ〜デザイン事務所で!って、最初思いました(笑)



SDLX: それすごいですよね。



稲葉: 実際にはデザイン事務所じゃなく、クリエイティブユニットだったんですけど(笑) 生意気では、あ!こういうのもありなんだ!みたいな事をすごく学びましたね。ガチガチのものよりも楽しんで作った方が良いとか。でも、それは2007年にビアマイクさんに紹介されて、裕子(金谷)ちゃんと一緒に映像を作ったときも思いました。裕子ちゃんも自分が面白いと思うものをどうやったらわくわくするか?みたいなことを考えて、自分が欲しいものを作る事を大事にしていてるから、のびのび出来るんだよね。裕子ちゃんとの共同作業からも、本人にも言ったけどホント色々学びました。



金谷: 一緒に作ったのは相当楽しかったよね。



生意気



では実際、二人がどんな映像をてがけたのか映像を見ながらお話伺いたいと思います。



金谷裕子/yogacircus アートワーク: 金谷裕子 アニメーション: 稲葉まり、金谷裕子



金谷: やりながらスゴイ笑ったよね。コマ録りしてるんだけど動きが意外で、それが面白くて。



稲葉: うん!うん!
金谷: 動きがあまりにバカバカしかったりして!(笑)



(話はFull version撮影の際のエピソードへ)



稲葉: ユニコーンがスゴイ速さで動いたりして!(笑)
金谷: ユニコーンなのに狼みたいにガウガウ!ガウガウ!って(笑)
稲葉: 暴れ馬みたいになってたよね!(笑)
金谷: アレはおかしかった〜!
まりちゃん意外に笑わないよね!クールに進めてた!
稲葉: そう!裕子ちゃんがツボにハマって!多分、(コマ録りで録ったものを見ることによって)自分で作って見慣れていた絵が見たことも無い動きをしたからじゃない?



Rie fu/Home ディレクション: 金谷裕子、稲葉まり

SDLX: Moypup以降、共同でPVを制作したのは初めてですよね?



金谷: 初めてだよね。
稲葉: うん



SDLX: これは外にこういうセットを作ったんですか?



金谷: うん。森にね!映像見ると、あの寒い冬だったとは思えないよね。
稲葉: そうだね!



SDLX: これゲート大きいですよね!Sense of Wonderのエントランスゲートに負けないくらい。
金谷: そう!今年のSense of Wonderこれも持っていこうかと思って(笑)
稲葉: 良い!





二人の活動でやっぱり忘れちゃ行けないのが、2007年のBECKのジャパンツアーで映像が使用されたっていう一連のエピソードですよね!
(BECKのバックバンドメンバーにて構成されるWounded Cougarが金谷裕子"Do The MOYPUP!"展 "MOYPUP"リリースパーティーに急遽参加が決定。イベント中の金谷、稲葉の映像に魅了されたメンバーが日本ツアーの為、来日中のBECKに紹介。 BECK本人もそのクオリティを高く評価、異例のツアー映像抜擢となった。)



金谷: 面白かったよね!あの一連の出来事は!
稲葉: ミラクルだったよね!



SDLX: BECKは金谷さんの作品も何枚か購入されたみたいですよね? 金谷さんはBECK好きだったんですか?



金谷: 曲が面白いからアルバムを持っていたけど、他の自分が特別に好きなミュージシャンみたいに熱狂的に好きだったっていうのは実は無くって。



SDLX: 金谷さんとまりさんがBECKの武道館公演の映像やったんだよね!って話をDJ Codomoさんとしてたら、CodomoさんがBECKは金谷さんの作るようなアートワークが好きそうって!って言ってたんで、金谷さん自身もBECK ワールドが元々好きだったのかな?って思って。



金谷: 今回のことで、更に聴き込んだりエピソード知ったりして、改めて興味持ったかんじ。BECK本人はアート好きらしいよね。自分のおじいさんもそういう方面の人らしいし、自分も絵を描いたりしてるし、好きみたいよ!
稲葉: おじいさんが有名な人なんだよね。
金谷: そうアルハンセンっていうフルクサスの人。それでおじいさんがやってるの見て、4歳くらいのときにべックは感銘を受けたっていう。
稲葉: 神童だね!
一同: (笑)



写真中央: 稲葉まり 写真右: 金谷裕子



SDLX: 二人の表現の世界観はかなり近いところにあると思うんですね!展示用の映像を共同作業で制作するところから始まって、実際 Rie fuさんのPVも二人が監督として制作してますよね。実際初顔合わせは昨年(2007年)だという事ですが? 二人に共通点ってありますか?



金谷: 共通点っていうか、(一緒に作っていて)関心したのはまりちゃんってしぶといなって思って。根気強いよね!もうちょっと試してみようとか!いうし。



SDLX: なるほど、すごく共通してる部分が多くて一緒にやっているというよりは、上手に補い合ってる感じのほうがありましたか?



金谷: 補い合ってる感はあるね!役割は違ったかもしれない。。
稲葉: うん!二人でやる時は、アートワークは裕子ちゃんが手がけて、私は基本的には動かす側に徹底しています。コマドリのアニメは一緒に動かしたけどね。そう言う意味でも役割は違ってた。でも、あきらかに価値観が違うとかだったら、まず、こういう話になってないと思うので。。
金谷: 基本的なものつくりに対する姿勢は似てるところがあるかもね!あ!後、共通点は長い打ち合わせに耐えられる!喫茶店でお茶飲みながらとかだったら!(笑) 2人でご飯食べながらとかだったらね!
稲葉: ケーキミーティングとか!



SDLX: まりさんは8月3日に2月、大盛況を収めた舞台の再演「星の行方」を控えてますよね?再演とはいい、8月の再演はさらにパワーアップした舞台をご披露頂けるであるうと言う事で,是非とも見所を教えてください。



稲葉: ぜひダンスと音と映像の融合したファンタジックな世界を堪能して頂ければと思います。今回は更に、照明さんに仲西祐介さんという方が入るので雰囲気も前回とは大分変わってさらに深くなると思います!後は映像も若干変える予定なので、凄く良いものになると思います!是非、ちびっこにも見て欲しいです!



舞台:星の行方 アニメーション: 稲葉まり、せきやすこ photo:HATSUE



SDLX: 金谷さんは9月13日、14日に都市型野外フェスSense of Wonderでのインスタレーションを控えてますよね。今年は2日間の開催でどの様なインスタレーションを考えていますか?



金谷: 今年はCIRQUE DU MOYPUP(シルクドゥモイプアップ)と称して装飾サーカスをたくらんでます!(笑
一同: (笑)
金谷: プロジェクト名とか考えると盛り上がるかな?って。デコレーションを楽しもうと思ってます!
稲葉: 今年は私も遊びに行こうと思ってます!



2007年 Sense of Wonder エントランスゲート 製作: 金谷裕子



SDLX: お二人は様々な分野で、活動されてますが、今後なにか挑戦してみたい事ってありますか?



金谷: 今はSense of Wonderのことで頭がいっぱいで他の事はあんまり考えられないんだけど、それとは別に年明けか、年末に個展をしようと思っていて。後、DVDをつくりたい!それは厳密にDVDって限定するものじゃなくて、そこに絵もあって、映像もあってっていうなにかひとつの“もの“が作りたい!
SDLX: まりさんはいかがですか?
稲葉: なにかちゃんと伝わる、あたりまえなんですけど、間に合わせ的につくるものではなく、ちゃんとこう良いものをつくりたいなと思ってます。
SDLX: お二人ともお忙しい中、ありがとうございました!



2007年の春先、金谷裕子さんがSuperDeluxeにて開催した展示"Do The MOYPUP!"に展示する映像制作の為、出会う事になった二人は二人にしか出来ない共同制作を通じ、様々なものを学び、触発しあい、また大きな経験を重ねて、一人のアーティストとして、より豊穣な実を育んでいるのでは? とインタビュー中感じました。勿論、文面からもわかる通り、二人の世界観そのままの陽気で明るい性格は、カラフルな色彩、ユニークなアニメーションとなってそのまま作品にも反映されています。二人の作品、表現を真近に体感出来る8月3日SuperDeluxe「星の行方 昼公演 夜公演 」9月13日、14日に山中湖交流プラザきららにて開催の野外フェスティバルSense of Wonder是非とも足をお運びになって、二人の世界を体感して下さい。
(text & interview SuperDeluxe昆野立)



金谷裕子
頭の中にあるサイケでカラフルでドリーミーな世界を実在させる夢を叶えるべくドローイングコラージュインスタレーションデコレーション映像VJDJ音楽祭壇お祭り洋服出版などなど、いろんなかたちでもの作りに励んでいます。昨年、作品集「MOYPUP」(モイプアップ)リリース。DVD版「MOYPUP」(Beckのライブで上映した映像収録予定)目下製作中!



稲葉まり
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、クリエイティブユニット生意気勤務を経て06年より独立。グラフィック、アニメーション制作を中心に活動する。ドローイングやコマ撮りのアニメを用いてYUKI「66db」や、UA「黄金の緑」MV制作に参加。「キロロあやののあそびうた」DVDアートディレクション。Rie fu「Home」、関口和之「口笛とウクレレ2」、髭(HiGE)「Electric」などMVのディレクションも精力的に行っている。8月3日SuperDeluxeにて開催の舞台公演「星の行方」ではアニメーションを担当。



2008 7/10



次のイベント

2018年01月26日 (金)

あれやこれやカフェ Vol.36 TokyoDex 新年会2018

開場 19:30 / 開演 20:00

チケット 1000円

チケット予約不要
TokyoDexは今年もSuperDeluxeで新年を迎えます。すっかりおなじみとなったThis&That Café(あれやこれやカフェ)、2018年の新年会の贅沢なキャストは、アナログとデジタルのめずらしい組み合わせで五感すべてを刺激するディープなアートの旅へとあなたを誘います。お見逃しなく!